2011年10月30日日曜日

CHOGM2011

この週末、パースではCHOGM2011と呼ばれる英国連邦首脳会談会談が開催されています。日本人には馴染みの薄いCHOGMですが、いわゆる大英帝国が植民地を多数要した全盛期の名残りを留める会議体で、イギリスを含め54カ国が加盟する大規模なものです。EUのような経済共同体のための条約があるわけでもなく、かといってアメリカ連邦のような一定の中枢機関をもたない、他に例をみない国家連合なのです。

このCHOGM2011の開催式に参加されるために、イギリスのエリザベス女王とフィリップ殿下がオーストラリア入りされ、26日にパースにご到着されました。英国国王、エリザベス女王は、今でもカナダやオーストラリア、ニュージーランドなど16カ国の国家元首なのです。この度のオーストラリア訪問は16度目となり、85歳になられていることを考えると恐らく最後のオーストラリアご訪問ではないかとも言われています。オーストラリア到着後も、連日の式典や訪問など各地で公務を行われている様子がテレビニュースでも報じられていました。いや、お元気です。

そんなエリザベス女王が、帰国される28日の午前中、パース市内の公園で開催される Big Aussie BBQ にご参加されるということで、朝から行ってきました。会場となる公園では朝9時からボランティアの人たちががソーセージを焼き焼きして、チャリティーバーベーキューとして販売しています。女王陛下の市内パレードは11時と予定されていましたので、10時過ぎに公園に到着後して、腹ごしらえと場所取りです。メイン会場は相当な混雑が予想されるので、大型スクリーンにライブ中継されるサブ会場での待機です。





予定通り、総督邸を出発した車列が目抜き通りを抜け、公園横の通りへと進んで来ました。もちろん付近一帯は、警察による道路封鎖が実施され、完全に専用道路と化した車道を進んできます。非常にゆっくりとしたスピードで、沿道の市民に手を振られての通過です。公園をぐるりと回るコースを取るため、女王の車がが通過するとすぐさま公園の反対側の沿道めがけて人々が走り出す様子が面白かったです。反対側でもう一度見ようというわけです。





26日のパース入りした際に拝見したところ、英国王室御用達のレンジローバーの左後部座席に女王がお座りということをチェックしていたので、もちろんそちら側に陣取って声援を送りつつ、記念にお写真を撮らせて頂きました。





メイン会場に到着後されたエリザベス女王とフィリップ殿下は、西オーストラリア州知事の歓迎を受け、その後、今回のオーストラリア訪問に対する感謝のスピーチされました。サブ会場は割と広々とししてゆったりと式典の模様を大型スクリーンで見れましたが、メイン会場は相当な混雑だったようです。





バーベーキュー会場へ足を運んだ人たちの様子を見る限り、オーストラリアにおいてもエリザベス女王の人気は高いように思われました。もちろん、野次馬的な関心から参加している人たちもいるとは思われますが、国家斉唱のシーンになると皆一斉に立ち上がり合唱するあたりに市民の愛国心の深さを垣間見ることができました。これが皆自然と行動に出るところがなんとも言えません。

残念ながら女王陛下とフィリップ殿下は、会場に20分程度滞在後、そのまま帰国の途に付かれるため、再度市民総出で沿道からお見送りすることとなりました。

幸いにしてCHOGM2011の期間中は好天に恵まれ、BBQイベントも非常に快適に過ごすことができました。その一方で会談会場となったコンベンションセンターや周辺のホテル近辺は、安全確保のため完全に通行止め状態となりバスの運行ルートが変更されるなど、それなりに市民生活への影響があったのも事実です。また、会談中には市内で各種デモや抗議行動などもあり、多数の国家、民族を有する英国連邦も多数の問題を抱えているのが実態です。





なお、今回の英国連邦首脳会談会談に先立ち、イギリスでは王室の王位継承権の見直しが検討され、首脳会談で議論されたようです。これまでの男子優先の継承権から、男女平等の継承権への変更で、これについてはエリザベス女王も賛成のご意向のようです。現状ではチャールズ皇太子、その長男のウィリアム王子と継承順位が決まっていますが、その次の継承順位にあたるウィリアム王子の最初の子供が男の子であれ女の子であれ、性別を問わず王位継承者になるというものです。男女平等の社会変化に合わせて英国王室も変わっていくようです。もし女の子が誕生した場合は、再度女王の誕生という可能性も出てくるわけです。

いや、それにしても日差しが強い。暦の上ではまだ春なんですが、日差しは痛いくらい。先が思いやられます。

2011年10月9日日曜日

Mr. Stingray!

本日の日曜日は、この季節限定の見所であるホエールウォッチングクルーズに行ってきた。クルーズ船でパースの沖合のロットネス島の近くまで行って、クジラを見るという2時間ほどのツアーである。毎年、9月から11月しか運行していないので、これはこの季節に是非行かねばとネットから予約し、送迎バスでのピックアップポイントの予約電話に一苦労しながら何とか無事参加できました。




ツアーにはハーバー近くにある水族館の入場チケット代金も含まれていたので、クルーズ終了後、そちらにも足を伸ばしてきました。西オーストラリア州最大の水族館という割には、日曜日なのにあまりお客もおらずゆっくり見物できました。見所は、回遊水槽の下を動く歩道に乗って魚を間近に眺めれるというところで、サメやウミガメ、エイなどなど、手の届きそうな姿を眺めることができました。




そこで、おじいちゃんに連れられて来ていた子供が、「Mr. Stingray! Mr. Turtle!」と目に入るものを無邪気に次々叫んで声をあげてます。何気なく聞いていたのですが、「Mr. xxx」と呼ぶんですよ。これって日本の子供が、「エイさん、カメさん、象さん、ライオンさん」と何にでも「さん」を付ける子供言葉と一緒なんですよ。英語圏の子供は、何にでも「Mr. 」を付けて呼ぶんですね。水族館に来て、意外な共通点を見つけました。

2011年10月6日木曜日

STEVE JOBS 1955-2011



いつもはバスで研究所の最寄りバス停で降りるのだが、今日は売店で買い物と郵便を出そうと大学のメインキャンパスへ寄ってから向かうことにした。用事をすませてキャンパス内の無料循環バスを待っている11時前に「ジョブスが亡くなった」というツィートを皮肉も彼が生み出したiPhoneで知ることになった。20数年前、AppleIIGSのデザインに憧れ、その後、Macの確信的なインタフェースに魅了されて、それがきっかけとなり情報系の大学に進学して今に至っている身からすると、なんとも言えない深い悲しみが溢れてきた。澄み渡る青空と降り注ぐ日差しの強さがコントラストとなり歯がいく感じた。今朝、積ん読にしていたブログのRSSフィードから、1985年のPlayboy誌に掲載された29歳のジョブスのインタビュー記事を読んだばかりだったというのも偶然とは思えなかった。

恐らくジョブスの訃報を受けて元記事が急遽見れなくなっているのが残念だが、インタビュー記事の一節を引用させてもらおう。元記事は「田園Mac」さんのブログから。

Playboy(以下 P):1984年が終わり、私たちはまだ生きている。コンピュータが世界を支配することもなかった。そう信じたくない人もいるみたいだけど。世にコンピュータを激増させたことで非難、あるいは賞賛される誰か特定の個人がいるなら、その筆頭候補は29歳のコンピュータ革命の父である君じゃないかな。それに、君は想像もできないくらいの金持ちになった。一時、株価が5億ドルに迫っただろう?


Jobs(以下 J):実は、それから1年で2億5千万ドルにまで下がったんだよ(笑)。


P:え、笑っていいの?


J:そんなことで人生を台無しにしたくないからね。だって可笑しいだろう? こうした金の話になると世間がすごく注目する。それってむしろユーモラスな感じがするよ。過去10年間に起こったことの中で最も洞察的で重要な出来事であるわけでもないしね。でも、大学のキャンパスでスピーチするときにわかるのは、多くの学生は僕が金を持っているという事実に畏怖を感じている。自分が年寄りになってしまった気にもなるよ。


僕が学校に通っていたのは「シックスティーズ」の直後で、実践的意志の時代が来る前のこと。今や理想主義の言葉で思考する学生はいないと言っていいだろう。哲学的な問題に取り組むよりも遥かに多くの時間をビジネスコースの勉強に費やしている。でも、シックスティーズの理想主義の気配はまだ僕達の背後に漂っていて、僕が知っている僕と同世代の人々には、永遠にそれが染み付いているんだ。